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I Shall Be Released

PARCO劇場オープニング・シリーズ「チョコレートドーナツ」を観てきました。

お目当てはモチのロン、元宝塚トップ娘役の妃海風。4月にもヒロインを演じる「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」を観劇する予定でチケットも手元にあったのに公演中止。それから1年経たないうちにまた風ちゃんに会える機会に恵まれるなんて思ってもみなかったです。
公式サイトを見てもメインの3人以外の配役が記載されていないのでどんな役どころかもわからず。映画も見てなかったのでこれ幸いと予習ナシで臨みました。

男性同士のカップルが育児放棄されたダウン症の子どもを育てるこの物語、明るく楽しい話ではないというのはうっすら感じていたし、冒頭のポールからの手紙ではっきりと悲劇であると断言していたけれど、予想以上に残酷な結末でした。
対立する弁護士や判決を下した裁判長を恨むことはいくらでもできるけれど、誰もがマルコを救おうという想いで自分の正義に従って行動しただけ。同性愛カップルに育てられることは不幸だと思った気持ちにすら嘘はない。悪意はどこにもない。だからこそ気持ちのやり場がない。
この結末では「それでもいつかは」の希望を持つことも許されない。マルコの「ハッピーエンドにして」という希望に沿うかたちでにぎやかに幕が下りたけど、かなり心が重くなりました。

キャスト発表時に「風ちゃんは学校の先生かな?」というツイートを見かけたのでマルコの学校生活が描かれているものと思っていたのですが、どうもバッサリカットされたようで?
そのあたりはしっかり言葉で語られていたので「?」となることはなかったけれど、そんな場面もあればマルコの成長をより深く感じられたのではないかなと思いました。

家族の描写も同じく言葉で語られる部分が多かったけれど、チョコレートドーナツを欲しがるマルコ、体に悪いからダメというルディ、いいじゃないかと甘やかすポール、そんな三人のやり取りがまさに家族のそれでほのぼの。マルコのために用意したかわいい部屋もふたりで頭を悩ませて選んだろうなあ。
多くない直接的な描写の中でも家族愛はしっかり伝わってきました。

この舞台は主人公がドラアグクイーンということもあってショーの場面では客席からも自然と手拍子や拍手が起こるわけですが、二幕冒頭のショーが悪趣味すぎて、そんな場面にも変わらずに手拍子や拍手が起こる状況にゾッとした。観客は純粋に素晴らしいダンスに対してのものであって他意はないとわかっていても。
この場面を作った意図をいろいろ勘繰ってしまう。まさか作った側に意図がないとは思えないし。意味も分からず手拍子や拍手をしていた人がその意味を知ったときに後悔させるため?

ルディの仕事仲間が嫉妬心を告白する場面は切なかった。「私とあなたは同じなのにどうしてあなただけ」って、私もそういうところあるから。

ルディとポールのふたりが世間から受けた仕打ちははかり知れないけれど、弁護士が放った「同性愛が当然であるという間違った考えを植え付けることになる」これこそが間違った考えだと口に出して言える時代に生きていてよかったと心から思います。
とはいえまだまだ問題は山積み。当事者じゃないからこそせめて足を引っ張るようなことはないように心がけたい。
こんなふうに同性愛に理解を示したいようなことを綴っておきながらがら「日本の舞台で黒人の役を本物の黒人が演じている!」と驚いたことに自分の差別心を思い知らされました。

劇中でも何度か涙ぐむ場面があったけれど、一番こみあげてきたのがカーテンコール。コロナ禍こうしてカーテンコールしているという自分が置かれている状況にものすごく感慨深くなりました。

出演者についても少し。

主演の東山紀之、初っ端のショーで真ん中にいるのが彼だということに30秒くらい気付かなった。リップシンクだったから余計。
ダンサー陣に至っては楽屋の場面での話し声で「おおおおお男だったの?!」となりましたまじで。風ちゃんいるかな?って探したもの。
ヒガシは少年隊の人。あと時代劇出てる人。その程度の知識しかなかったので、エネルギッシュなダンスと歌声に驚きました。そしてあの肉体美!しっかりと筋肉が付いていて、お尻が半分見えてるような刺激的な衣装も全然見苦しくなく、すらりとした脚も美しい。マルコを想う切実な演技も心に響きました。

パートナーの谷原章介はNHK「うたコン」の司会でおなじみの顔なので、本物だ!感が一番強かったです。
ミュージカルだと思ってたので彼も歌えるんだーと思ってたら歌わなかった。そもそもミュージカルじゃなかった。
情熱的なルディと穏やかなポールといった並びもよく、より深いところでのつながりが想像できました。

マルコ役の丹下開登くんは、メインビジュアルに起用されている高橋永くんみたいにわかりやすく愛らしいタイプではないけれど、おままごとするような歳でもなくも体も大きいのにお人形を手放さない、むしろ「本当にいそうと」と思えました。
モニカとのダンスシーンは本当に楽しそうで、パンフレットでも好きなシーンに「モニカさんとのダンス」を挙げてくれてて嬉しかったあ。

堀部圭亮はタモリ倶楽部にときどき出ているので(最近出てないけど)なんとなく親近感があるのですが、まあ~嫌な役がピッタリでしたね~~~。ボールからの手紙を読んで彼の心に棘が刺さればよいのですが。

そして我らが妃海の風ちゃん。女性キャストでは1番目にクレジットされていたのでそれなりに期待していたのですが…役として必要なのはわかる。けれども掘り下げられるほどの人格も与えられていなかったなーと…。べつに両親との関係は悪くないだろうが両親のような忌むべき思想は持ってなさそうとか、初対面の子供とも楽しく踊れる人柄の良さとか、想像はいくらでもできるのですべて良い方向に解釈する!
それと白雪姫の仮装がとってもとってもかわいかったのでそれだけで満足です。なにげに法廷の場面でも書記として出ずっぱりだったしね。ウフ。

ルディが憧れるベッド・ミドラーを演じたまりゑさんの歌声も素晴らしかったです。
最後、生バンドが登場したけどもしかしてずっと生演奏だった?!だとしたら嬉しい。気づかなかったとしても嬉しいの!

コロナ禍以降、初めての観劇だったわけですが、それがこの作品で本当に良かったです。
しっかし私の人生で東山紀之と谷原章介を生で見る日が来るとは。ジャニーズは通ってないし谷原章介が舞台もやってるなんて知らなかったから…。
こうして新しい世界に触れることができるのは風ちゃんのおかげです。本当にありがとう!
舞台 | CM(0) | TB(-) 2021.01.20(Wed) 22:54

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