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人生賛歌

宝塚月組公演・ザ・ミュージカル「グランドホテル」/モン・パリ誕生90周年レヴューロマン「カルーセル輪舞曲(ロンド)」に行ってきました。
雪→星→宙→月→花→星→宙→宙→月→星→花→星→花→星→宙→月で全国ツアー以来ちょうど1年ぶりの月組観劇です。
1年前の全国ツアーではようやく2番手になったばかりだった珠城りょうさんのお披露目公演。

まずはミュージカル「グランドホテル」
借金だらけの男爵、落ち目のバレリーナ、余命いくばくもない病人、スターを夢見るタイピスト、高級ホテル「グランドホテル」に集う人々の群像劇。
スーツ物だし地味そうだなんて思っててどうもすみませんでした!素晴らしい舞台でした。質実剛健だけど暖かい空気を感じました。主要人物のハマリっぷりも見事でした。
オープニングの回転扉から主要人物が次々に登場する場面から一気に引き込まれました。予備知識ナシで見たい私でも公演ポスターの画像くらいは何度も見てますから、ああああの人が出てきたあああこの人が出てきたといちいち興奮。
ほぼ二人の会話で進むようなものだからいかようにもシンプルに作れると思うんですけど、たとえ動く背景だろうとも常に大人数が舞台に出ているとまるでグランドホテルのロビーの喧騒のよう。序盤で登場人物が勢揃いして一列に並ぶ場面は圧巻。数でモノを言わせる宝塚の醍醐味を堪能しました。
ストーリーもとても心に響きました。明るい未来に旅立つ人、悲しい結末を迎えた人、いろんな人生があったけれど、新しい命の誕生に集約されてこれ以上のラストはないなと!なんだか古谷実の「サルチネス」を思い出してしまいました。
ところでこの作品、初演と今回の再演とで主役が違うんですね。初演の主役らしくない病人×ヒロインらしいタイピスト、再演の主役らしい男爵×ヒロインらしくないバレリーナの組み合わせが面白い。

続いてショー「カルーセル輪舞曲」
幕が上がるとそこには回転木馬が!タイトルから勝手に全編パリが舞台かと思っていたら、パリ、ニューヨーク、ブラジル、そして日本へと、世界旅行のような作品でした。
この設定だと日本のところで和を強調した場面が出てきそうなものですが、日本を宝塚に限定して宝塚に到着するという構成が素晴らしい!宝塚を象徴する大階段での端正な黒燕尾の群舞にシンプルな白いドレスに身を包んだ娘役が花を添えて最後はデュエットダンスに…感動がよみがえります!
いきなりクライマックスの感想を書いてしまいましたが、それぞれの場面も楽しかったです。
ショーではトップ娘役の愛希れいかさんのダンスを楽しみしてたのでカッコイイニューヨークの場面は最高でした!男役だけでなくて娘役もカッコイイ!
暁千星さんがセンターを務めるかわいい列車の場面はモン・パリのオマージュだそうで、こういった往年のファンが喜ぶ場面っていいですね。
私、向かい合って踊るシーンを見ると「カポエラみたい」といつも思ってて、今回のショーでもやっぱり「カポエラみたい」と思うシーンがあったので、その後にホントにカポエラのシーンが出てきたのにはビックリしました。宝塚は何でもアリだなあ。
何でもアリとはいえ、黒燕尾群舞にデュエットダンス、そして歌ウマ娘役のエトワールとポイントはしっかり抑えてあるのが嬉しいです。これはなくても「なんでないの?!」と思うほどではありませんが、全員シンプルな衣装に身を包んで合唱する感動的な場面も好きなので、見れて満足。
写真を見て「なんじゃこりゃ?!」と思ってた蝶の王様みたいな衣装は実際に見ても「なんじゃこりゃ?!」でした。こんなものすごい衣装を麗人が着ている姿を見れるのも宝塚の醍醐味ですね!
ところで、全国ツアーのときにも思ったんですけど、月組トップコンビのデュエットダンスってうっとりしないんですよね。ほがらかな気分になってしまうのです。踊り終わりでふたりして太陽のような笑顔向けられたらそうなるのも仕方ないよね?!

最後に生徒について。

・珠城りょう/フェリックス・フォン・ガイゲルン男爵
激情もハマリ役でしたが今回もハマリ役でした。ただ、本人の人柄がにじみ出ていたのか、「口から出まかせで心無いことをも言う」というのが伝わらないというか気付かなくて、ずっと、愛の言葉も友情の言葉もみんな本音だと思って見てました。財布をくすねたことすら「拾った」と言われたら「そうだったんだ?」と信じてしまいそう。そこらへん読み取れたら真実の愛を知る過程も楽しめたのかなー。ちょっと残念。「殺したと思ったら殺されてた」はショッキングな場面でした。ドロボウ服にすごく見覚えがあるんだけど思い出せない…。
彼女、芝居声がハッチさんに似てますね。ミュージカルでは歌の伸ばすところが不安定になるのが気になりましたが、ショーではとくに気になることもなく。なによりどっしりとした存在感がいいですね。とくに黒燕尾姿がものすごく絵になる。大階段中央で巨大な翼を背負う姿が忘れられません。
学年の若さを感じさせない風格の持ち主と評されていますが、私はじゅうぶんにみずみずしさを感じました。プロレスラーにもたまにいる、写真で見ると老け顔だけど生で見たら普通に若いしなんならちょっとカワイイ、みたいな。この先どんなトップスターになるか楽しみです!

・愛希れいか/エリザヴェッタ・グルーシンスカヤ
「○度目の引退」で大仁田を思い出したのは私だけじゃないはず。「ブラック・スワン」にもこんな役がありましたねえ。栄枯盛衰は作り話でもツライ…。これがイヤな奴ならともかく、首飾りを売りとばしてギャラを払おうとするようなただのいい人なんだもん。そんな彼女が愛されて前向きになったところであの結末はヒドイよー。
一代記は別として、宝塚で40代ヒロインがアリだってことにオドロキ。しかもそれを演じるのが妖精が見える少女を演じたちゃぴ!これがまたすんばらしいマダムっぷり。本当に40代に見えるもの。
ダンサーでありながら芝居も歌もうまいって、「娘役トップたるもの」をまざまざと見せつけられました。すでに娘役としては異例の長期ですが、なおまだまだいろんな役が見たいと思わされました。
幕間で「ちゃぴがトップスターみたいだったね」という声が聞こえてきましたが、彼女を乗り越えるのは易くなさそうです。

・美弥るりか/オットー・クリンゲライン
ミステリアスな彼女が演じる個性的な風貌のこの役はなにか裏があるに違いないと勝手に思い込んでいたもんですから、なにもなくてかえってビックリ。いやホントにわりと最後の最後までそう思って見てたので。
「なにもない」とわかったうえで思い返してみますと、苦手なダンスを若い娘に誘われてノセられるがまま一生懸命になったり、株で設けてはしゃいで死にそうになったり、とってもチャーミングなオジサマ。
男爵に儲けさせてもらったからとお礼を渡すあたり、たいしてお金には執着のない人なんだろうな。幸せな結末もそう長くは続かないと思うと切ない。
こんな、言ってしまえば死にかけのおじさんの役ですよ、美貌の彼女に信じられないくらいハマってました。男役としては低い身長と高い声がプラスに作用した感じ。たくましい男爵との対比も際立ってました。
一転、ショーではその美貌を発揮しまくって、彼女を中心とした幻想的な場面はこの世のものとは思えませんでした。彼岸かな?ってくらい。
お芝居もよかったし、男役らしさからは外れてるとはいえ歌声にも魅力を感じたし、役も相まって今回の観劇で一番印象に残りました。

・暁千星/ラファエラ・オッタニオ
おかっぱで女言葉だけどグルーシンスカヤを愛してるってことは男なんだよね?と、思ったら女だったんかい!!!宝塚版として男に改変されてるかとも思ったけど、プログラムの写真見ると甲が出る靴を履いているから間違いなく女ですね。宝塚にも百合ってあるんだ~。しかも22年も仕えてるってことは若くても30代半ば…熟女百合とはまたニッチな。主従関係だから愛を秘めているのかと思ったら…。それをわかったうえでもう一度見直したい!ていうかちゃんと「大人の女性」ができる別格娘役で見てみたい!…いやでもそれだとアレか、女装くらいがちょうどいいってことか。
役代わりということでありちゃんVerでしたが、彼女は何を演じても彼女なんだなあ。意外な配役されても「こんな役もできるんだー」と全く思わない…。超路線の彼女にはいろんな役をこなすのも過程のひとつなんでしょうね。
セリフだと滑舌悪いのに(TSUがTUになる)歌になるとさほど気にならないのが不思議。苦手な芝居声もこれまた歌になると気にならないんですよね。
ショーになるとキュートな魅力を素直に楽しめるのでホッとします。彼女はダンスだけでなく歌もうまいですしね。

・朝美絢 /エリック・リトナウアー
いろいろな人生が描かれた中で祝福しかない人生はまさに清涼剤でした。役替わりの比重としてはこちらの方が出番や曲数的にも軽いのでしょうが、新しい命の誕生を喜ぶ歌はすべての曲の中で一番重要な曲だと思いました。
直前に放送されたFNS歌謡祭の出演で「左後ろの人」として時の人となった彼女、メガネ姿がすてき~なんて私もちょっとミーハーになってしまいました。OGの蓮水ゆうやさんがゼロ年代BL顔なら彼女は10年代少女漫画ヒーロー顔ですね。
ラファエラが女性とわかった今となっては小柄な彼女でも見てみたかったなあ。逆にありちゃんでこの役も見てみたい。絶対似合う(断言)。

・華形ひかる/ヘルマン・プライジング
なんだかいざこざにまきこまれてかわいそうでした。あの状況なら「そういうつもり」と思って当然だし。オットーにひどいことをしたとはいえザマミロと思えなかった。
思い切った体形補正をしていましたが、肉襦袢の着こなしってのもあるんだなーと。顔がきれいなのも違和感の一因でしょうね。
ショーでは水先案内人ということででずっぱり、専科スターだとこういう使われ方になるんですね。ナルホド。

・宇月颯/運転手
ヒールは社長じゃなくて運転手(衣装のせいで軍人だと思ってた)。男爵との関係がいまひとつわかりませんでした。なにか弱みでも握られてたのかなあ?
ダンスの人という評判を聞きますが、歌がうまいのは全国ツアーでエトワールを務めていたのでよく覚えていますが、芝居までうまいって、なんでもござれのすごい上級生がいるもんですなあ。なにげに芝居声が好きってのは貴重なのです。

・海乃美月/フリーダ・フラム(フラムシェン)
おバカで優しいヒロインは大好物です。男爵に頼まれてオットーと踊ることを少しも嫌がらず「とっても上手よ」とはげます姿に裏を感じないし、身重でもオットーが一緒になってくれることにも純粋に感激してそう。
華やかなソロの場面もあるし、こっちがヒロインかと思うほど重要な役どころでした。
宝塚を見て「かわいいなあ」と思うと「幼い」という感想もセットになってしまいがちですが、彼女はちゃんと「かわいい大人の女性」に見えました。
これも役替わりのようですが、ラファエラ/エリックとちがって「もう一人」はどこにいるかもわかりませんでした。

あとはお医者さんに掃除のおばさんにプロデューサーに興行主に…と、今回も主要人物がそのまま印象の強さになってしまいました。ただでさえ生徒の顔と名前が一致してない月組でみんな似たような服装ですから…。輝月ゆうまさんすらわからなかった…。まあ、気が散らないように生徒を探すのは極力控えたのもありますが。
そう考えるとなんやかんや星組と宙組は「誰かわかる」からぼーっと見てるようでぼーっと見てるわけでもないんだなあと、我ながら思いました。

心に残るミュージカルに過不足なく満足できるショー、素晴らしい組み合わせでの新生月組の門出に立ち会えることができました。いやホント、グランドホテルはもう一度見たい。「そのつもり」で見たいという理由もあるけど、純粋に素晴らしい作品だったので。
「見れるものを見れるときに」でありながら二番手時代の全国ツアーから朝夏まなとさんの宙組を見る機会に恵まれてそれが楽しい経験になっているので、新生月組もそうなったら嬉しいな。

さて、次「見れるものを見れるときに」でいくと雪組なのですが…当代トップの退団公演なのでどうなりますことやら。雪組は宝塚初観劇で先代を見たっきり、当然当代も見てないので、ギリギリ滑り込めればよいのですが。大ちゃんも退団するし。
宝塚 | CM(0) | TB(-) 2017.03.29(Wed) 21:39

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