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21週と6日まで

大石圭「殺人勤務医」

ダークヒーローかと思ったら、被害者の悪事が
・児童虐待
・飼育放棄
・鯉の住む池に洗剤を流した
・アイドリング+車外ポイ捨てゴミ放置
・中華料理店で大量に注文しておきながらほとんど手を付けずに残した
こんなかんじで、最初のふたつみっつはともかく、最後のふたつはそんな苦しめて殺すような程の事でも…と思ってしまってモヤモヤ。
家族がいようと子どもだろうとお構いなしで、結局、主人公本人が語る通りダークヒーローじゃなくてただの快楽殺人鬼だってことなんですね。主人公が「ナチュラルボーンキラー」である理由には唸った。
最初のエピソードが中華料理店だったから、たとえば児童虐待→飼育放棄→…→中華料理店の順だったらまた印象違ってただろうな。「期待通りのダークヒーローだ!」→「えっ、そんなことで殺すの?」みたいに。

主人公は中絶専門病棟の勤務医で、一緒に働いている人全員が「先生ステキ(はあと)」って感じなんだけど、アメリカ人だって朝からそんなに食わんだろう、夜だってどんだけ食うんだよってくらい大食漢、ワイン好きだからワインに合うようないかにも太りそうな食事ばっかりだし、車通勤でスポーツに打ち込んでる様子もないし、あんな食事してたらどう想像してもステキな見た目にはならない…。ただ、穏やかで人当りは好いので、清潔感あふれるデブを想像して読みました。
このテの小説にありがちな完璧超人系主人公はいけすかないけど、襲うときはスタンガン使ったり、逆に暴漢に襲われたときは手負いの体で暴漢をねじふせたりなんてことはなく助けを呼んだりと腕っぷしが強いわけではないので、そこらへんは親しみが持てて好印象。
この世に生を受けることができなかった子どもには「かわいそう」と思わずに「運がなかったな」と思う一方で、妊婦には中絶を考え直すことができるようにアドバイスし、結果、出産を選んだ妊婦がその後順調に育っているお腹をさする姿を見て安堵したりと、ホントに不思議な人。
31歳の主人公の彼女が50歳の院長ってのには驚いたけど、愛してくれなかった母の面影を求めていたのかな。エピローグからするに主人公は院長との新しい生活を選ばずに母親と暮らす…というか母親を飼っていくように思えたし。
不遇な生い立ちへの同情もあるけど、いけすかなくない殺人鬼主人公はめずらしい。

中絶の歴史も勉強になった。「中絶は不可。ただし」で中絶が気軽に行われているのは「経済的理由」の拡大解釈だったのか…。
読書 | CM(0) | TB(-) 2016.10.06(Thu) 23:06

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