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赤道

西加奈子「こうふくあかの」を読みました。

いや実はこれの前に別の作者の本に手を付けたのですが、天才外科医で腕っぷしが強くてケンカに負けたことがなくて高身長でルックスもよくて都合のいい女が何人もいて実母の美貌を賞賛する主人公が気持ち悪すぎて放り出してしまいました。

というわけで三冊目の西加奈子。

時は2007年。主人公は不惑の年を目前に控えたサラリーマン。冴えない同期を尻目に課長のポストに付き、よき上司であるよう努力し、目論み通り部下からも慕われ、仕事はすこぶる順調。
妻は面白味はないものの従順だし地味だけど美しいし浮気なんてできるタイプじゃないからまあいっか。
そんな妻からある日突然妊娠を告げられてビックリ仰天。だって3年間してないんだもの!

舞台は変わって2039年。プロレス業界はすっかり衰退、マニアな客は過激さを求め団体もそれに応えようとする風潮の中、ストロングスタイルを貫く絶対王者がいた。

という、二つの舞台を交互に話は展開。

2007年の話は物語が進むにつれて主人公がドンドンかわいそうになっていくんですよ。妻が他人の子どもを身ごもってるだけでも地獄だろうに、産むとか言い出すし、努力もむなしくプロジェクトの成功は「上司にしたくない男ナンバーワン」だと思っていた男の手柄になるし、いかに自分が計算高くデキル男かを並べたてた末のこれですからもう惨めで惨めで!
一番悲惨なのが、マグロだと思っていた妻が実はM属性の淫乱でマグロだったのは物足りなさに絶望してただけという…。こんな事実突きつけられたら自分の前ではマグロだった妻が行きずりの男と一晩中燃えサカってたバリに冴えない同期と男二人で行っちゃうよ!

冴えない同期に連れられて訪れたプロレスのリングがあってカウンター内のテレビにはいつもアントニオ猪木の試合が流れている不思議なバーはいつしか癒しの空間に。傘寿もすぎたであろうおばあさんたちのオシャレな恋愛トークをBGMに男たちは黙って闘う猪木を見つめる。
この不思議なバーは2007年と2039年を結びつける重要なポイントでもあるのです。

一見なんのつながりもないように思える二つの舞台も読み進めていくうちにつながりがはっきりしてきます。2007年はこの家族はどうなってしまうんだろう…と不安になるような終わり方ですが、2039年の未来は案外悪くないぞと、読後感は爽やかなものでした。

プロレスモノなのでプロレスネタを探せもなにもないのですが、気になったのが「上司にしたくない男ナンバーワン」だと思っていた男の名前が大柳。や、珍しい苗字だから、なんでよりにもよって。
読書 | CM(0) | TB(-) 2014.07.31(Thu) 21:49

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