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どんどん伸びてゆく山田孝之の髭

映画「凶悪」のDVDがレンタルが開始になったので見ました。

原作は実在にあった事件のノンフィクション。(読書感想文)

以下、原作との比較中心のネタバレ感想。

いやはやなかなかうまく2時間にまとまっていました。
序盤の地道な取材の単調さと、回想として描かれる凶悪な事件の全貌の激しさの対比がすごい。
事件の首謀者である不動産ブローカーの"先生"と死刑囚である組長が手を組んだ大筋の事件と、組長が先生とは関係のないところで起こした死刑判決を受けることになる放火殺人事件を、原作通りに別々にしないで同じ時間軸に収めたことで、わかりやすくなっていたと思います。
原作では、著者である記者が「取材を通じて組長の実直な人柄に触れて親しみを持つようになったのは確かだか、組長が起こした凶悪事件は死をもって償うべきだとという考えは変わらないと」(うろ覚え)と書いているのですが、これを、組長がキリスト教に入信し、牧師のすすめで短歌やペン習字を習うようになり、主人公との面会で「生きる喜びを感じている」と言わせたうえで、法廷で主人公に「あんた(組長)は生きる喜びを感じちゃいけない」と言わせることで表現していて、うまくできてるなーと感心しました。

オリジナル要素なんか入れんなよと思いがちな私でも、痴呆症の母の自宅介護に疲弊しきっている主人公の妻と仕事に逃げる主人公のサイドストーリーは意味があって入れたのだなとわかって、むしろ入れてよかったと思いました。これは第三の事件の電器屋の一家との比較ですね。電器屋の一家は借金を重ね仕事もせず酒に溺れ体を壊した手におえない父親を見放す。一時はお荷物も消えて大金も手に入ってよかったかも知れないけれど、結局、地獄を見る破目に。片や主人公夫婦は手におえない母親が原因で離婚の危機を迎えるものの、お互いに歩み寄り問題を解決しようと努力した。母をホームに入れることで一時は罪悪感にさいなまれるかも知れないけれど、夫婦の関係は修復され、家族計画も進み、いずれはそれでよかったと思える日が来る。原作を読んだ時と同じく、電器屋の家族の在り方に家族って一体なんなんだろう…と暗い気持ちになりましたが、主人公夫婦のドラマに少し救われた気がしました。

逆にこれはちょっと…と思ったのは、「事件を記事にするのは難しい」と言った主人公に組長が「信じてたのに」と激昂するシーン。原作だと組長は終始「こんな話信じてもらえなくて当然」といった姿勢なので、うーん?と思いました。まあ、組長の悪の一面をわかりやすく表現したかったのでしょうが。
それと、事件の重要な関係者が目の前でトラックに轢かれて死んでしまうシーンは演出過剰。あと死体が埋められたと思われる土地を主人公が雨の中掘り返すシーンも。実際は警察が全部掘り返してます。逆に第二の事件の被害者を組長のあいまいな記憶をもとに地図を何枚もコピーしてつないで巨大地図を作って調べ上げたというのは嘘のような本当の話。
組長が先生に復讐しようと思った理由が「先生に騙されて舎弟に手をかけてしまったから」というのも相違点。ただ、実際の理由は「自分はおそらくもう娑婆には出てこれないだろうから、生活能力のない舎弟の面倒を見てくれるように先生に頼んだのに面倒を見てくれず、舎弟が自殺してしまったから」なので、ちょっとわかりにくいかなと。改変後の理由の方がわかりやすいかなと。
それからすごくどうでもいいんだけど、組長の女が実際は金星ってところも大きな相違点。濡れ場ができる美人な女優なんていっぱいいそうなもんだけどなあ。
他にもちょこちょこありますが、とくに気になったのはこのくらい。

さて問題の「死の酒宴」のシーンですが。いやーまーこえーこえー。先生怖すぎ。映画見た後になんでもないCMに出てきたリリー・フランキーが極悪人に見えるくらい。暗い色調の映像だったのでなんぼかマシでしたが。場所も普通の和室だったし。これが原作と同じく先生の愛娘のグランドピアノの置いてある部屋なんていうロケーションでやられたらもうエグすぎて見てらんなかったでしょう。

主人公の妻が主人公に言った「この仕事楽しかったでしょう?私もこの記事読んでるとき楽しかった。こんなひどい事件があるんだって」この台詞は自分が言われているようでギクッとしました。実際、凶悪事件のルポタージュを読む理由なんて「刺激を求めて」それ以外のなにものでもないので。

見るのがこわかったけど実際にこわかったけど見てよかったです。ドラマチックな脚色が余計だと思ってしまうほどに現実味のない事件だったんだなと、あらためて思い直しました。
映画 | CM(0) | TB(-) 2014.04.14(Mon) 23:09

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