« 2016 . 09 »    1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

スイキュー!!

篠田節子「家鳴り」

それはそれは面白かった「仮想儀礼」の作者のホラー短編集。

・幻の穀物危機
震災で東京が壊滅、食糧を求めて農村に避難民が大挙して押し寄せてくるというエピソード、西森博之原作の「何もないけど空は青い」にも似たようなエピソードがあるけど、こっちのほうがもっとずっと残酷。
「作るもの」と「作れないもの」に二分するなら私も主人公と同じく「作れないもの」だから気が滅入る。

・やどかり
まともな男ならば劣情をもよおすはずもない普通の女子中学生の描写が生々しくて気持ち悪い。
どっちに転んでも最悪じゃんと思ってたので、あの結末は最良かと。
男が勝手に「女」だと思いこんでいた女子中学生はまだまだ「少女」だったってことですね。

・操作手
介護SF!あたらしい!
これの嫌なところはおばあちゃんは悪くないってところ。思うところはあっても、嫁いびりしてたわけでもないし、孫もかわいがっていたし、息子に愛情が偏るのは当然のことだし。嫁が姑の介護を8年も続けているのがなによりの証拠かと。
すごい死に方だけど、おばあちゃんの人生を思うと幸せに死んでいったと思いたい。

・春の便り
憑かれてるような気もするんだけど、おばあちゃんと愛犬の霊(?)の心温まるやりとりのせいで絵本にもできそうなほのぼのファンタジーに。
いろいろな点で「操作手」と対象になってるんだな。似たような話を続けたのは対比を際立たせるためかな?
家族に介護されて家で迎える壮絶な最期と、家族に見放されて病院で迎える穏やかな最期、どっちがいいんだろう?

・家鳴り
失業した夫が趣味のクラフトでいつの間にか自分の4倍も稼ぐようになった妻に「食べさせること」を生きがいとして見つけた結果、妻がブクブク太っていくんだけど、二人は幸せになっていく一方でいろんなことが壊れていって、この徐々に取り返しのつかないことになっていく様子がゾクゾクする。

・水球
この話を怖いと思えるには私は人生経験が足りない。
ところでなんでこんな、よくある話を書いたんだろう?最後になにかものすごいことが起こるかと思ったらなにごともなく終わってしまって本当にただの「よくある話」。
でもこの「じわじわ感」は作者特有のものなんだろうな。

・青らむ空のうつろのなかに
被虐待児が預けられた先がカルト村って良い方向に転がるわけがない。
被虐待児がどうにもならなすぎて悪役にもなりそうな施設の職員がかわいそうになってくる。
考えてみたらこの本、この話も含めて7作中4作が心中モノなんですよね。ラストは豚と真珠ならぬ豚と心中。
読書 | CM(0) | TB(-) 2016.09.02(Fri) 21:21
copyright © 未聴CDはゼロにはならない all rights reserved.

プロフィール

nisui

  • Author:nisui

最近の記事

最近のコメント

月別アーカイブ

カテゴリー

ブログ内検索

RSSフィード