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I・AI・愛

宝塚花組公演・サイエンス・フィクションラブ・ストーリー「アイラブアインシュタイン」に行ってきました。
雪→星→宙→月→花→星→宙→宙→月→星→花→星→花の一公演振りの花組です。初めてのバウホール、全国ツアーチームとバウチームの両方を見るのも初めてです。
バウホールは最後列でもステージとの距離を感じない、コンパクトでとても見やすい会場。むしろ後ろの方がステージ全体を見渡せるし、ノンストレスで鑑賞できました。
バウチームは主演の瀬戸かずやさんはじめ、桜咲彩花さん、水美舞斗さん、天真みちるさんなどなど、「風の次郎吉」に出演した生徒が多数出演しているので、全国ツアーよりも楽しみにしていました。

「オー!マイキー」のボブ先生状態の総統やアンドロイドの失敗など楽しいシーンも多く、わりとコミカルに進んでいったのですが、一幕の幕引きで衝撃的な展開に。ところが二幕になると予想していた展開と違うというか、えっ、それでいいの?勝手にそんなことされて何を笑い合ってるの?とか、話もゴチャゴチャしてきて頭の中がハテナマークでいっぱいになってしまいました。振り返っても後半の展開がよく思い出せない…。別にオペラ覗いてばかりいたわけじゃないのにストーリーがよくわからないという結果に。
ストーリーはよくわかりませんでしたが、各要素はかなり好みでした。
衣装やセットのデザインはスチームパンクでかっこよく、最後に歯車のオブジェが組み合わさってハート形になったのには、おお~!となりました。
音楽もよかったです。ノリノリなロック調の「ノーモアマリオネット」は場面の勢いもあって楽しいし、アンドロイド達による「あの子は少し変わってる」の合唱は静かに不気味な感じが頭に残るし、スチームパンクなイメージによく合っていました。
観劇後にポスターを見ると、博士もアンドロイドだってこと、おもいっきりネタバレしてますね。

バウ公演のフィナーレでへーっと思ったのは、主役でも番手付じゃないと黒燕尾にキラキラは付かないということ。格差のない黒燕尾の群舞は端正でとても素敵でした。
女役二人を相手にするデュエット(じゃないか)ダンスにはエロスを感じました。そのまんまの意味です!
パレードじゃなくてカーテンコールっていうんですか?演じたキャラをイメージした決めポーズが楽しかったです。

簡単に印象に残った生徒の感想を。

・瀬戸かずや/アルバート
次郎吉の金さん役でもきれいな人だなーと思ってたけど、生で見ると本当にきれいで現実感がない。コスチュームもハマリすぎててフィギュアみたい。
滑舌が悪いのとちょこちょこ噛むのが気になりましたが、声量はあるのでストレスにはなりませんでした。

・桜咲彩花/ミレーヴァ
彼女の本来の持ち味はこっちの、貴婦人系なんですかね?
次郎吉でとっても元気な役を演じたときは歌になると急にソプラノボイスになるのがキャラに合わなくて戸惑ったのですが、こういうキャラならばピッタリの歌声。
なんだか意外でした。全然違う役が見れて嬉しいです。

・城妃美伶/エルザ
かわいいし歌うまいし演技できるし、花組をよく知らない私が見ても娘役トップ候補なんだろうなと思える人でした。デュエットでも声量のある瀬戸かずやさんに全然負けてないし。
あのお人形さんみたいな衣装を着こなせるのがすごい。

・水美舞斗/トーマス
親友が実はラスボスだった!ていう話かと思ったら違った。彼女は狂気の演技がうまいなあ。ソロも迫力があって素晴らしかったです。ラフな衣装もキマってる。
私、彼女は非の打ちどころがないと思うのですが。どうにかならないんですか?

・英真なおき/ヨーゼフ/レオ
専科の男役声ってなんであんなに自然なんですかね?正直、男役声って大半の人がどこかしら違和感があって聞き苦しいとすら思うこともあるんですけど、専科ではそう思ったことがないので。
彼女も例外なく、すごく自然に耳に入ってくる声でした。さらりと自然な演技も素敵でした。

・天真みちる/ハンス
次郎吉における三助さんの印象が強い彼女の正統派な執事スタイルにドキッ。アンドロイドだから無表情&無感情なのにどこかコミカルなのは彼女ならではでしょうか?メイドアンドロイドと偵察に行くシーン、かわいかったです。

・羽立光来/マルティン
現役屈指の歌ウマという評判の彼女、実は生で見るのを一番楽しみにしていました。のに、残念ながらソロなし。がっくし。役もニコイチであんまりおいくなかったです。もっとちゃんとした(?)役が見たかったなあ。でも長身で体格のいい彼女は軍服の着こなしが抜群で舞台映え最高でした。

・亜蓮冬馬/ヴォルフ
彼女、歌うまいっすね。長身なのでオペラを覗くとあどけない顔にビックリ。あの悶え苦しむ演技は本当に難しいと思う…。

・朝月希和/ヨハン
灰色の髪と服装のせいで少年じゃなくておじいさんに見えてしまったのでどうにかならんかったのかと。喋ればちゃんと少年なんですが。

ストーリーはよくわからなかったというか忘れてるけど、面白かったと思ったことは覚えているので、面白かったんだと思います。

今回初めてバウに行きましたが。バウの雰囲気は独特ですね。私が見た回がたまたまだったのかもしれませんが、誰かしらが誰かしらと知り合いといったご様子。一見さんお断りということはないでしょうが、少し肩身が狭かったです。

ところで瀬戸かずやさん主演なら「OH! Edo Night Show II『桜吹雪の金四郎-大江戸夜飛翔・其之二-』」という手もあったのではと思うのですが。思うのですが。今後いかがでしょう?
宝塚 | CM(0) | TB(-) 2016.09.30(Fri) 20:42

なこよかひっとべ

星組トップスターの北翔海莉さんが退団するということで、「きっといつかは花乃みち」を実現する絶好の機会じゃん、これ逃したら次は何年後になるか、そもそも次はないかも?で一念発起、行ってまいりました本拠地宝塚!
宝塚の遠征といえば大劇場→別箱→東京のハシゴだそうで、せっかくなのでこれも実現。いやーもー一生のうちに見る美人の1/3をこの三日間で見た気分。

宝塚三昧の三日間の最初を飾るのは、宝塚星組公演・グランステージ「桜華に舞え-SAMURAI The FINAL-」/ロマンチック・レビュー「ロマンス!!」最初にして最大の目的です。
雪→星→宙→月→花→星→宙→宙→月→星→花→星、さらにこの後花を挟んで星の2日続けて2回、4回目&5回目の星組観劇です。初めての大劇場、そして初めての同一公演複数回観劇を経験しました。
大劇場は東京とつくりが全然違いました。ちょっとした地下商店街。駅から出て5分で着席はダッシュでも厳しいな。公演デザートやらグッズやら映像やらに目移りしながらホールのエントランスへ。写真でしか見たことのない光景に感激!スチールプレートってあんなに高いところに飾ってあるのね~!

それでは感想を。

・グランステージ「桜華に舞え-SAMURAI The FINAL-」
好評を博した「風の次郎吉」のタッグの本作、「退団公演は駄作」のジンクスを打ち破る良作でした。
よくもまあ登場人物もエピソードも盛りだくさんにしておきながら人間ドラマも押さえつつまとめあげたなと。西南戦争についてなーんも知らない私でも細かい部分はともかく、粗方理解できたもの。ま、ストーリーの軸そのものは、同郷の士が己の信念に基づいて袂を分かちて戦うという単純なものなんだよね。
浮世絵を模した幕、かっこいいオープニング、決め台詞、迫力の殺陣、ワクワク要素もバッチリ。
二番手がトップの親友役で三番手がトップを恨んでいるという役割もいい。利秋と隼太郎は同い年ではなくて利秋の方が少し年上で隼太郎が利秋を慕っているように見える、そんな関係もトップと二番手の関係を映しているようでなおいい。
トップコンビのロマンスはささやかなものだけど、吹優が利秋に恋している気持ちを「恋」という言葉を知らないので「恋」という言葉を使わずに伝える場面がとてもロマンチック。
西南戦争待ったなしという頃になると会場のそこかしこからすすり泣く声が。
鹿児島に帰省した隼太郎が追い返されるエピソードは本当に辛かった。こんな目に遭っても打ち上げ花火と軍楽隊の演奏を同郷の士に送る故郷愛に涙。
薩摩軍が追い詰められて次々に死んでいく場面は壮絶で、とても見ごたえがあった。
登場人物総出のエンディングは大迫力!
悲劇なのに作品に漂っている空気はカラッとしていて清々しい。
もう、大満足。
そりゃ、元ネタをよく知ってる人からすればツッコミどころはいっぱいあるに決まってる。私も会津戦争のことはたまたま知っていたので、あのときお城にいた婦女子はみんな自決しなかったっけ?と思ったし。
それでもストーリーだけでちゃんと楽しめた。役者が力づくで良作に押し上げたとは思わなかった。まして「○○さんがかっこいいからいいや」なんてことにはならなかった。
私、駄作の名高い「大海賊」好きなんですよ。ストーリーはともかく、海賊チームのキャラが立っていてホントに楽しい。それぞれのキャラに注目して背景を想像して何度でも見れる。桜華もそんな作品でした。

・ロマンチック・レビュー「ロマンス!!」
岡田先生のロマンチックレビューは全国ツアーの定番なのでいくつか拝見しておりますが、本公演では初。みっちゃんのプレお披露目でも上演された「Amorそれは…」が好きなので、それなりに期待してました。ただ、前作の「THE ENTERTAINER!!」が再演不可能な究極の当て書きショーだったので、期待値のレベルは少し下げて臨みました。
トータルの感想としては、ああ、ロマンチックレビューだなと。これはみっちゃんにしかできないというようなものでもないなと。
トップスターが娘役に囲まれて大階段のど真ん中に立つ登場場面なんかAmorそのまんまだけど、それをわずか5段の階段じゃなくて大階段で見れるってだけでも価値を見出したい。
初恋の場面とかね、正直退屈だろうなと思う場面もあります。まあ私はみっちゃんファンですから、みっちゃんのノーブルなお姿に鼻息が荒くなる場面ですけどね。ふうちゃんと二人きりにもなるし!
Amorにおけるフロリダの風にあたる場面も楽しみにしてました。たぶん、ロックンロールの場面がそうだと思うんですけど、シチュエーションがしっかりしすぎてて私の好みからは外れてたかな。でもたくさんの生徒が自由に演じているのはどこを見ればいいかわからないほど楽しいし、リアルミニーちゃんなふうちゃんが見れたのでごちそうさまです。
極力ネタバレ避けてたけど、琴ちゃんとカイちゃんが女装することは知ってました。どっちと絡むかは知りませんでしたが。みっちゃんと絡んだのは琴ちゃんだったわけですが、琴ちゃんが誘うようにみっちゃんの頬に手を当てる場面、妖艶な雰囲気にドキドキして、2回目のときにオペラで琴ちゃんの表情に注目したら、妖艶とは程遠いニコニコ明るい笑顔であらっ。琴ちゃんは女装感がゼロなので、女装感のあるカイちゃんと絡んでたらどんな感じだったのかな?
比較対象があるのでなにかと比較してしまいますが、ゴリゴリのスパニッシュがなかったり、変わり燕尾じゃなくて黒燕尾なのはよかったけど大階段でボレロじゃなかったり、中詰に風ちゃんがいなかったり…と、ないものねだりをしてたらキリないね。
あれやこれやなモヤモヤは友情の場面がなにもかも吹っ飛ばしてくれました。扉に見立てたセットをうまく使った退団作にふさわしい素晴らしい場面。実際に客席から歓声が上がったもの。目頭が熱くなりました。男役総出の群舞がとてもかっこいい。そんな中、紅一点、手足をブンブン振り回して大きく踊る風ちゃんがすごく目立っていて、つい風ちゃんばかり目で追ってしまいました。
デュエットダンスがないというネタバレも見てしまっていたので覚悟はしていましたが、うん、まあ、背景がやたら豪華なデュエットダンスだと思えば。みちふうデュエダン専任歌手のぽんちょも歌ってるし。と、自分を無理やり納得させていたのですが、その後に次期トップコンビが銀橋で歌い踊るシーンがあり、一礼してはけたらフィナーレって…それはトップコンビがやるべきことなんじゃないのー?!とちょっと気持ちのやり場がなかったです。いや、次期トップコンビ紹介という意図はわかるんですけどね。二人とも組内昇格じゃないと入れられない貴重な場面だということもわかってるんですけどね。
エトワールが華鳥礼良さんなのも知ってましたって結構ネタバレ避けれてないな!歌ウマさんということで楽しみにしてました。エトワールは歌ウマ娘役に限ると思っているのでその通りで嬉しいです。
パレードでは本公演で退団する専科のさやかさんにひときわ大きな拍手があがりました。
思うところはチラホラありましたが、たおやかで、平成デビューの昭和スターの退団公演にふさわしいレビューでした。

印象に残った生徒について。

・北翔海莉/桐野利秋
彼女のケレン味のある演技は激昂型のキャラクターハマりますね。基本カッカしてるのに吹優と接するときは穏やかになるのがいい。吹優が「年下の先生」という設定もときめく。
少年(?)時代のこどもっぽさはさすが。隼太郎もヘタレな感じがかわいかった。この場面、向かい合ってガハハと笑う姿勢の背筋に驚愕。
殺陣は期待以上でした。本当にすごかった。隼太郎と刀を合わせるスローの場面もよかった。
ポスターは鹿児島時代の和装だけど、半分くらいは軍服パートかな。宝塚の男役に日本の軍服はそれはそれはよいものだと知ることができました。
ショーは如何せん前回のショーと比べてしまうとね…でも前回はみっちゃんファンの私ですら「みっちゃん思ってた以上に出番があった」と感じたくらいですから、このくらいが普通なのでしょう。
みっちゃん、お芝居ショーともに前作よりずいぶんかっこよく見えたんだけど…単に日本物が似合うってだけの話じゃないよね?ショーは日本ものじゃないんだし。

・妃海風/大谷吹優
「手をつなぐこともままならない」という話でしたが、ラブシーンこそないとはいえこうもりよりよっぽと絡みあったと思いますよ。「熱愛」ではない、こんな「ほのかな恋心」というのもよいものです。でも吹優が博愛社に志願した理由が「利秋に会いたい」というのはなかなか熱烈。
ショーでも大活躍でしたね!絵画から出てきたような美しいふうちゃん、実写版ミニーちゃんなかわいいふうちゃん、私服でそのまま舞台に立っているような等身大のふうちゃん、紅一点でブンブン踊るかっこいいふうちゃん、いろんなふうちゃんを堪能しました。
最後のスチールは前回とほぼ同じ角度なのに、前回「恋人」だったのが今回「妻」になったと表現しましょうか、すごく落ち着いた雰囲気でとても素敵でした。

・紅ゆずる/衣波隼太郎
敵役かと思ったら、敵対はしているけどあくまで親友。最後まで悪い人じゃないのは本当に良かった。
隼太郎絡みのエピソードはどれもこれも切なくて悲しくて…。
利秋の遺骸を庇い抱き寄せて泣きわめく場面のやりすぎな演技、私はなりふり構わない感じが伝わってきてとても心に迫りました。こんな感動的な場面でそんなこと思ってしまったのがちょっと恥ずかしいけど、抱擁が熱烈すぎて男同士の見てはいけないものを見てしまった気分にもなりました^^;
前回ほとんど絡みがないどころか入れ違いばかりだったショーも今回はしっかり同じ場面に出ていてよかったです。ぜいたくを言えば二人だけでおもいっきり絡んで火花散らすような場面も欲しかったけど。ま、そこはお芝居でたっぷりやってくれだのでよしとする。

・礼真琴/八木永輝
こっちが敵役ですね。事情はあれど、執念がこわい。
彼女の黒い役は初めて見ましたが、さすがのこなしっぷり。男役でもあそこまで低くかつ明瞭な声を出せる人はなかなかいないから、かわいらしい見た目を補って余りある武器になってると思います。ショーのコミカルなシーンでもその声で他の二人に比べてダンディ度が格段に上でした。
ショーではかいちゃんとセットで使われる場面が多くてザ・主役な場面があった前作の方が三番手感が強かったかなと思いました。

・美城れん/西郷隆盛
主役の一人といえる大きな役どころ。宝塚でここまで「せごせんせ」を体現できるとは。
きっと文字で読むだけでも名言だろうなと思う言葉が彼女が台詞として口に出すことでより名言になる。
自決の覚悟を決めた後ろ姿が頭から離れません。
ショーでは銀橋でおおらかに歌う彼女の後ろで若いカップルが幸せそうに踊るというじつに専科らしいシーンがありました。
専科らしい専科ってこういう人のことを言うんだろうな。
パレードで贈られた盛大な拍手からも退団が惜しまれていることが本当によくわかりました。そして退団に相応しい絶好の舞台だったのだなということも。

・夏美よう/大久保利通
私が初めて見た宝塚の舞台に出演していた彼女で専科の存在を知ったことを思い出します。
今回はさほど目立つ役ではありませんでしたが、利秋が西郷先生の家を訪ねるシーンで犬をだっこしてる姿のインパクトが強くて。
大久保は対立する側ですが、戦争終結で嘆くシーンに、誰が悪いとか悪くないとかはないんだなあということを思わされました。
ショーのロックンロールの場面では若いコたちに促されて少し遠慮がちにはしゃぐ姿がかわいかったです。

・綺咲愛里/竹下ヒサ
こうもりとは真逆の感情を抑えた耐える役に地声の低さがよく合っていて、かわいい系の彼女にこういう役がハマるとは、発見です。
エピローグで尋ねてきた吹優に応対したときの「国賊の名前ばあんま太か声で言わん方がよかです」という台詞が悲しくて心に残りました。
ショーではもっと紅氏とガッチリ絡むのかなと思ったけど、アイラブレビューの場面だけでしたね。まあ、その場面でかなりのインパクトを残したと思いますが。

・夏樹れい/村田新八
芝居では鹿児島に戻ってからは常に利秋の側に、ショーでは2曲もソロで歌う場面があって内一曲はみっちゃんとの歌い継ぎという、かなりいいポジション。
私は先代星組時代のことはよく知らないけど、彼女の扱いは当代になってから上がったのかな?「ぽんちょとかヒーローとか歌える人がフューチャーされるようになった」というのは見たことがあるけど。

今回のお芝居は役の大小にかかわらずそれぞれ印象に残るシーンがあって全部書いてたらキリがないのでこのくらいで。今後「この人誰だっけ?ああ、あの役やった人ね!」と思い出すのに重宝しそうです。

ここ数回の観劇で、あまりオペラばっかり覗いてると舞台に集中できないという反省があったのと、2回観劇するということもあったので、1回目はできるたけオペラを覗かずに観劇しました。席も1階席後方センター寄りで銀橋もしっかり見える位置だったし。オペラを覗くのは2階席の2回目でいいやと。
結論、生観劇でオペラは使うべきじゃない。ストーリーがちゃんと頭に入ってくるし、全体を見た方がかえっていろんなところに注目できる。とくに宝塚みたいに舞台にたくさん人がいてそれぞれ小芝居やってるような場面だとそういう小芝居に「ウフフ、あんなことやってる」と気付くのが楽しい。
群舞ならフォーメーションを堪能した方がいい。映像化されればアップはいくらでも見れる。全景はなかなか見れないんだから。
でも映像をソフト化されても買わない舞台がほとんどだからなあ。悩みどころです。

そうそう、客席からの登場で気付いたら少し身を乗り出せば手が届くような所にみっちゃんがおりまして、人間って驚くと声も出ないものですね。いいもの拝ませていただきました。

というわけで、みっちゃん&ふうちゃんの見納めでした。さやかさんは最初で最後でした。
東京でだってやるんだから東京で見たってよかったんですけど、大劇場まで見に行って本当によかったです!大劇場に初めて来たぞー!という感動も加味されたし!
本当に退団作品がお芝居もショーもみっちゃんにピッタリでよかったなあ。幸せだなあ。

おまけ。
2日目の観劇前に「宝塚歌劇の殿堂」に行きました。
1階はパネルとゆかりの品の展示で「勉強になるなあ」程度でしたが、2階の左半分では前回の星組公演にまつわる品々が展示されててテンション一気に上がりました!!!
みっちゃんふうちゃん紅氏の衣装はもちろん、ことちゃんにかいちゃん、更にはTAKE5のときのまさこさんの衣装までパネル付きで展示してあったのには大興奮!
舞台写真も多数展示してあって、TAKE5の写真はみっちゃんとまさこさんのツーショットになるように写真を撮ってひとりニヤけてみたり。(皇室コンビ~♪)
ミッチェルの小道具をじっくり見れたのは嬉しかったです。こうもりの小道具では手錠が思った以上に大きかったりと発見も色々。
面白いのが、大階段のパネルを背にパレードの衣装が展示してあるのですが、三番手羽を背負って記念撮影ができるんですよ!!!おひとりさまでも係の者が親切にすすめてくださるので安心です。
考えてみたらあの羽って実際に使われたものですよね。大海賊のパレードでまさこさんとこっちゃんも青い羽根背負ってたけど…まさこさんのだったらどうしよう!!!自分の背中のにおいは嗅げない!(←変態)
ジエンタで使用したケーンと羽扇も持たせてもらえます。ケーンは男役と娘役で長さが違うことも教えてもらいました。ポーズの指導もしてくれるし、ついはしゃいでしまいました。
ちなみに右半分では雪組に関する展示が行われていました。雪組はとっても疎いのでサラッと。ちなみにこちらではシャンシャンを持って写真を撮ってもらえます。こちらも係の者が申し出てくださるのでおひとりさまでも安心です!
500円払わないと入れませんが、初めてなら記念撮影してもらえるだけでも楽しめますよ。おすすめです!
宝塚 | CM(0) | TB(-) 2016.09.29(Thu) 21:58

カメロマ

宝塚花組全国ツアー「ミュージカル『仮面のロマネスク』/グランド・レビュー『Melodia-熱く美しき旋律-』」に行ってきました。
雪→星→宙→月→花→星→宙→宙→月→星→花で2回目の花組、全国ツアーでは初めてです。
先日退団を発表した花乃まりあさんは今回で見納めとなることでしょう。
今回は文字通り会場全体を見渡せる席。つまりそれって最後列ってことなんだけど、この会場は1階しかないので最後列も悪くないんですよね。オペラグラスが要るのはある程度後ろになればどこも同じだし。と、負け惜しみ。

では感想を。

・ミュージカル『仮面のロマネスク』
例によって話の筋が追えませんでした。オペラ覗きながら「この人は誰だろう?」「この人歌うまいな」「あっ、○○さんが出てきた!」ってもうオペラ覗くな!ってのはわかってるんですけど、一回こっきりの観劇だもの、覗きたい!
主人公のヴァルモンとヒロインのメルトゥイユ夫人が恋のゲームで他人の人生を狂わせるドクズだということはわかりました。あげく主人公は母娘両方に手を出すド鬼畜だということもわかりました。
あまりにもひどい話なので私の思い違い?と思ってプログラムのあらすじ読んだら間違ってなかったというね。こないだの月組全国ツアーの「激情」も大概だったけど、全国にお届けするお試し版がこんな話ばっかりでいいのかしら…?
毒牙にかかってしまったとはいえ、セシルとダンスニーが逃げおおせたのがせめてもの救いかなあ。クズ二人も最後はお互いの愛を確かめ合ったみたいだけど、待ち受けるのは別れなのでそれで溜飲を下げよう。
本人何も悪くないのにボロボロにされたトゥールベル夫人がかわいそうすぎて胸糞悪くてどーしようもないんだけど、暗鬱とした雰囲気や音楽はかなり好き。メイン二人の見た目が麗しいのも素晴らしい。
メイン二人が鏡の前で踊ってるのかと思ったらまったく同じ格好をした二人が後方で踊っていて、しかも微妙に振りが違う、心情を表しているのかな?そんな面白い演出もあったし、赤く染まる窓をバックに踊るラストシーンも悲壮感に溢れててとてもよかったです。
ところでこの作品、前回上演されたのがゆうひ時代の宙組なんですよね。舞台はもちろん映像でも見たことなくても、この役は絶対あの人って思うのがいくつかありましたね。ジェルクール伯爵がともちんでセシルがれーれでアゾランがかちゃ。あと法院長がすっしぃ。ほんで実際その通り。でもトゥールベル夫人が誰かはわかんなかったっす。娘役二番手格の役どころだけど、アリスはもう退団してたしなあ…。正解は藤咲えりさんでした。結構な抜擢だったのでは?

・グランド・レビュー『Melodia-熱く美しき旋律-』
MELODAIのロゴから漂うメタル臭になんだっけ?とモヤモヤ。途中で思い出しました。DEF LEPARDだ。Mで始まりAで終わる末広がりなところはMETALICAだし、なんでこんなメタルオマージュなロゴにしたんだ?
前回見た花組のショー「宝塚幻想曲」、1年以上も前に見たのに世界旅行の場面とかバスケの場面とか黒い花の場面とか花魁の場面とかものっすごくでかい羽根の場面とかいまだに思い出すんですよね。今回のショー、ほんの数日前に見たのに思い出せる場面が本当に少なくて、覚えてるのはダウンタウンとエルドラドだけ。で、プログラムで確認したらダウンタウンとエルドラド以外はスペインって、覚えてないんじゃなくて本当にそうでした。でもスパニッシュな印象も特に無くて…スペインとスパニッシュは別物?いやはやこんなに場面の少ないショー初めて見ました。宝塚幻想曲も盛りだくさんだけど、直近で見た星組のショーは輪をかけて盛りだくさんだったしね。
でもシンプルでわかりやすのは決して悪いことではなくて、むしろ私は変わった場面は醒めてしまう方なので、MELODIAは素直に楽しめました。まあ、エルドラド変な場面じゃんと言われたら頷くしかありませんが。でもエルドラドはツボ。
全体的に地味な印象を受けましたが、本公演ではどうだったんだろう?宝塚は数にモノ言わせるところが魅力のひとつでもあるので、全国ツアーで人数が減ったことで地味な印象になってしまったのかな?
トップスターのリサイタルは全国ツアー恒例?ステージ空っぽにするので賛否両論なのは存じておりますが、この会場は1階席しかないので誰も不幸にならないのです。黄色い悲鳴がすごかったー!
ロケットの連続側転には歓声が上がってました。アクロバティックで素晴らしかったです!そして黒燕尾での男役群舞の尊さよ。変わり燕尾反対!

印象に残った生徒について。

・明日海りお/ヴァルモン
前回見たお芝居とは対照的な黒い役。彼女の持ち味は「陰」の方だと思うのでよく似合ってました。
前回見たときも歌のうまい人だなとは思っていましたが、今回あらためて声のデカさを実感しました。デュエットだと相手の声をかき消してしまうほど。
しかし台詞での滑舌の悪さが気になりました。なので芝居よりも台詞の無いショーの方がよかったです。

・花乃まりあ/メルトゥイユ夫人
面長で大人っぽい容姿の彼女にこの役はよく合っていました。
二面性を見せる演技がとてもよかったです。とくに表の顔と裏の顔では声色まで違うから同じ人だったけ?と戸惑うことも何度か。裏の顔の喋り方といい声質といいすみ花っぽいなと思ったんですけど、すみ花っぽいというわけではなくて娘役の様式の一種なのかな?
演技が堂々としてるだけに歌になると急に弱々しくなるのが気になりました。

・芹香斗亜/ダンスニー
明日海さんとは対照的に彼女の持ち味は「陽」の方なので白い役は合ってるんだけど、お笑い要因というか、アホの子っぽすぎて二番手がやるにはもったいない役だなあと思いました。芹香さんの立派な体格からくるかっこよさが何の役にも立ってない。でも純朴な青年役、ハマってました。だから余計にもったいない!

・鳳月杏/ジェルクール伯爵
彼女を知れたことが今回一番の収穫。花組よくわかんないしなあとろくに出演者をチェックせずに臨んだので、なんかひとりものすごいうまい人がいるぞ!!!しかも三番手ポジション。パレードでも三番手羽しっかり背負ってる。若手の大抜擢?それとも別格?プログラムを確認して、それが鳳月杏さんと判明。評判は存じております。新公主演はしてないけど月組準トップ時代の役替わりアンドレやったからファンは望みを捨ててないという彼女。ヅカメイクで信じられないくらい化けるという彼女。いやはやファンが期待するのもわかります。こんなうまい人は捨て置けない。
とくに私は歌に感動しました。ショーでトップ→二番手→三番手と歌い継いだとき「なんだこの人すげええええうまい!」ってなったんですよ。明日海さんは歌に定評があって、実際歌唱力も声量もあるけれど、声質にクセがあるから、その点は好き好きだと思うんですよね。鳳月さんはクセがないからストレートに「すげえ!」ってなる。こんなにうまくてもとくに歌ウマとか言われてないのは芝居も踊りもうまいから?
彼女、PUCKで見てるはずなんだけど、覚えてないなあ。カリスタでは主人公の部下みたいな役だったのは覚えてるけど、そんな役があったということしか覚えてない。

・仙名彩世/トゥールベル夫人
今回唯一見るのを楽しみにしていた生徒さん。「風の次郎吉」のWヒロインのひとりですからね。次郎吉では陰を背負いつつも元気な役でしたが、今回はまるで正反対の役どころ。
彼女も娘役というよりは女役だと思うので、貞淑な人妻の役はよく似合ってました。控えめな彼女が堕ちていく様が本当に痛々しくて…。
自慢の歌声もしっかり堪能しました。本当にきれいな歌声~。掠れ声とは無縁。
ご当地出身の彼女、カーテンコールで紹介されると、客席の一角から「ゆき」と書かれた応援うちわが上がりました。

・優波慧/アゾラン
ひそかに楽しみにしていた生徒さん。フラットな感想としては、すごく優等生。どれも破綻なく素直にうまい。とくに演技が自然でよかった。華はないけど、立ち姿はスマート。
芝居でもショーでも宙組時代のかちゃみたいな使われ方してるなーと思いました。芝居ではまんまかちゃがやってた役だしね。娘役二人従えてひとりで歌う場面もあるし、有望株なんだなー。

・音くり寿/セシル
顔ちっっっちゃ!超ベビーフェイス!あどけなさすぎてキューピーちゃんみたい。ジェルクール伯爵、ロリコンどころのさわぎじゃないよ!これに手を出そうなんてヴァルモンも変態だよ!
でもさ、考えてみたらダンスニーもセシルもやることやってるんだよね。なのに「かわいそう!魔の手から逃れて結ばれてよかったね!」という感想になったのは芹香さん共々中の人のキャラもあったのかな。

・五峰亜季/ローズモンド夫人
学年から考えると信じられないほど若々しくお美しい。スチールの写真もそんなにヅカメイク濃くないのにちゃんと絵になってることに驚き。

ここのところ宙→月→星とぼちぼち知ってる生徒さんがいる組の観劇が続いていたので、知らない生徒さんばかりの花組の観劇はまた違った感触でした。どうしても役どころの大きさがそのまま印象の大きさに繋がってしまいますね。ま、昨年の6月まではずっとそうだったんだから、その見方が普通か。
次の全国ツアーは宙組のばれんんんんんしああああああですか。まぁ様の弾き語りならばちゃんととろけそうになれることでしょう。はーなーばーんなああー。
宝塚 | CM(0) | TB(-) 2016.09.28(Wed) 21:56

第6回ふく面ワールドリーグ戦

後半戦の仙台と矢巾に行きました。

ブログで観戦記を書くのをやめてから、他人様のご意見ご感想を漁るのもやめたし、元々プロレスラーのSNSだのブログだのはあまりチェックしないので、公式の情報が全てなワケでして。前回とはうってかわって、むしろ「ワールド」の名にふさわしい今回の面子、見たことも聞いたこともない覆面レスラーは本当に海外から招へいするんだと信じ切っていたワケでして。
ものすごいテンションで踊り狂いながら入場してきたサンバ・リオデジャネイロに、あっ、そういうことなのねと。ウォーキング・ザ・マミーもジャッキー・リンもそういうことなのねと!「○○選手の写真が届きましたがパンフレットには間に合いません」って届かなかったのは写真じゃなくて○○だったのか!すっかり騙されたぜ!本場メヒコのルチャに疎い私、おなじみの選手は剣舞とラッセだけだから応援に熱が入らないなあなんて思ってたので、少し気が楽になりました。

ラッセ。お帰りなさいのラッセ。海外修行中の情報が一切なかったラッセ。腰回りテーピングぐるぐるだったけどお元気そうで何よりでした!肥えてるのは元気な証拠!と思いたい。
仙台大会では早くも剣舞と並ぶ姿が見れてじーん。公式戦では剣舞のセコンドに就くラッセの姿を見て更にじーーーん。
まだみちプロ復帰ということにはならないみたいだけど、やり残したことやり終えたら帰ってきてね!

剣舞。私がみちプロ観戦を始めた当時、剣舞はまだデビュー間もなくて連戦連敗、その年の11月の仙台大会で梶原慧選手相手に初勝利をあげたことをよく覚えています。
そんな剣舞がみちプロの看板を背負って参戦!みちプロレギュラー参戦選手による優勝予想では全員が本命or対抗に剣舞を名前を挙げていたことに感動。
今の剣舞ならば準決勝まで進んだのは当然といえるでしょう。仙台大会のスペシャルマッチで見せた厳鬼はそれはそれは見事なものでした。
11月には東北Jrの挑戦も決まったし、みちプロの顔になる日も近いぞ!

SUGI。私は映像でしか見たことないのですが、ハイフライヤーととして有名、その一方ではよくミスるという評も。実際にこの目で見たSUGI、仙台大会の一試合見ただけでも全くその通りでビックリ。
数々の華麗な飛び技に映像で見た技だ!スゲエ!と興奮する一方で、コーナートップで*その場飛び*シューティングスタープレスをやるという信じられないミスに唖然。会場のどよめきが忘れられない…。
しかしカリスティコ相手にもしっかり見せてくれたし、試合前後の儚げな佇まいも危なっかしくて扱いの難しそうなところも含めて魅力的な選手であることは間違いありません。素直にまた見たい、もっと見たいと思いました。
入場時と退場時にリングの前で手を組んで長く祈っていたのが印象的でした。永久追放されてもおかしくない事件を起こしたんだもの、戻ってこれたことには感謝しかないでしょう。

レボルシオン。仙台で見たときになんで気づかなかったんだろう?矢巾では「すっげえー体…って東郷さん!」ってすぐに気づいたのに!
準決勝の対戦相手が剣舞ってことは師弟対決!感動の再会!レボルシオンは愛弟子との再会に嬉しそう、でも弟子は師匠に闘志メラメラ。
師匠とはいえ4年間のブランクがあるんだからその4年間も変わらず頑張ってきた剣舞なら勝てない試合じゃないぞ!と思ったんですけどねー。壁は厚く高かった。
決勝で見せた吊りパンのショルダー外してぺディグリー→セントーンのコンボには会場が沸いた沸いた。
カリスティコに敗れて準優勝となったレボルシオン。カリスティコに促されてマスクを外し、ディック東郷として語ったマイクは本当に素晴らしかった!「故郷にはいつ帰って来たっていいだろう?」その通り!これは東郷さんだけじゃなくてカリスティコもSUGIも、そしてラッセも、みんなの代弁だよ!

カリスティコ。若手選手が時を経てスペルエストレージャに。往年のみちプロファンにはさぞ嬉しい凱旋と結果だったことでしょう。
そんな誰よりも嬉しそうだったのはカリスティコ本人。優勝したことが嬉しいというより、参戦できたこと自体が嬉しい、そんな気持ちがビジバシと伝わってきました。仙台の公式戦がスポンサー付きで勝利者賞として小さなトロフィーが授与されたんですけど、まるで優勝トロフィーを手にしたかのような、必要以上の愛で方とアピールに、これ決勝だっけ?と錯覚してしまいましたよ。
決勝後のスペイン語でのマイクは「ディック東郷」しか聴き取れなかったけど、パッションだけはしっかり感じた!弟のアルゴスも自分のことのように喜んでました。兄弟愛!

ふく面ワールドリーグは4年に一度のお祭り騒ぎでみちプロの本筋とはあまり関係ないなんて思ってたんですけど、考えを改めました。そう思ってた自分の無知を恥じる。
みんなみちのくプロレスの渦に居るんだ。渦に居ればまたいつか交わるんだ。それが具現化したのが今大会だったんだなと。

公式戦以外ではがばいじいちゃんが大活躍。校長とアルゴスのあわや乱闘な場面もあったり、いつもと違うみちプロのリングは本当に刺激的でした!
そしてまたみちプロのリングはいつもの光景に戻るわけですが。こんなにすばらしい舞台を見せられた後でも「やっぱりいつものみちプロも負けず劣らず面白い!」と思わせてくれることを本気で願う。
プロレス | CM(0) | TB(-) 2016.09.21(Wed) 21:59

スイキュー!!

篠田節子「家鳴り」

それはそれは面白かった「仮想儀礼」の作者のホラー短編集。

・幻の穀物危機
震災で東京が壊滅、食糧を求めて農村に避難民が大挙して押し寄せてくるというエピソード、西森博之原作の「何もないけど空は青い」にも似たようなエピソードがあるけど、こっちのほうがもっとずっと残酷。
「作るもの」と「作れないもの」に二分するなら私も主人公と同じく「作れないもの」だから気が滅入る。

・やどかり
まともな男ならば劣情をもよおすはずもない普通の女子中学生の描写が生々しくて気持ち悪い。
どっちに転んでも最悪じゃんと思ってたので、あの結末は最良かと。
男が勝手に「女」だと思いこんでいた女子中学生はまだまだ「少女」だったってことですね。

・操作手
介護SF!あたらしい!
これの嫌なところはおばあちゃんは悪くないってところ。思うところはあっても、嫁いびりしてたわけでもないし、孫もかわいがっていたし、息子に愛情が偏るのは当然のことだし。嫁が姑の介護を8年も続けているのがなによりの証拠かと。
すごい死に方だけど、おばあちゃんの人生を思うと幸せに死んでいったと思いたい。

・春の便り
憑かれてるような気もするんだけど、おばあちゃんと愛犬の霊(?)の心温まるやりとりのせいで絵本にもできそうなほのぼのファンタジーに。
いろいろな点で「操作手」と対象になってるんだな。似たような話を続けたのは対比を際立たせるためかな?
家族に介護されて家で迎える壮絶な最期と、家族に見放されて病院で迎える穏やかな最期、どっちがいいんだろう?

・家鳴り
失業した夫が趣味のクラフトでいつの間にか自分の4倍も稼ぐようになった妻に「食べさせること」を生きがいとして見つけた結果、妻がブクブク太っていくんだけど、二人は幸せになっていく一方でいろんなことが壊れていって、この徐々に取り返しのつかないことになっていく様子がゾクゾクする。

・水球
この話を怖いと思えるには私は人生経験が足りない。
ところでなんでこんな、よくある話を書いたんだろう?最後になにかものすごいことが起こるかと思ったらなにごともなく終わってしまって本当にただの「よくある話」。
でもこの「じわじわ感」は作者特有のものなんだろうな。

・青らむ空のうつろのなかに
被虐待児が預けられた先がカルト村って良い方向に転がるわけがない。
被虐待児がどうにもならなすぎて悪役にもなりそうな施設の職員がかわいそうになってくる。
考えてみたらこの本、この話も含めて7作中4作が心中モノなんですよね。ラストは豚と真珠ならぬ豚と心中。
読書 | CM(0) | TB(-) 2016.09.02(Fri) 21:21
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